ざっくり英文法入門 20


20, To不定詞

 

To不定詞ですね。なんで不定詞という名前なのかについて言いますと、身も蓋もない言い方ですが、不定だからです。何が不定かといいますと、機能・用法がです。

 

作り方は「to+動詞の原形」という至極シンプルなものですが、それで「名詞」「形容詞」「副詞」のそれぞれ3種類の品詞としての機能があります。

 

なので、不定詞を学ぶ上でまず、「名詞」「形容詞」「副詞」について説明します。

 

【名詞/形容詞/副詞とはなんぞや】

☆名詞

名詞といえば、apple, cat, pen, letter,などの物質やI, He, They, John, Mike, Mr. Trumpなどの代名詞などが出てくると思います。これらは主語S、目的語O、補語Cになれます。

 

I like cats.    He is John.    左の例で言ったら、I, cats, He, Johnが名詞ですね。

(S) (V)  (O)      (S) (V)  (C)

 

さて、名詞はわかりやすいと思いますが、形容詞と副詞ってなんとなくピンとこない方が多いと思います。形容詞と副詞は「修飾語」です。何か他の言葉にくっついて効力を発揮します。

 

☆形容詞

修飾語としての形容詞はこれだけ覚えてください。

形容詞は名詞を修飾する」これだけです。

 

He has a nice watch. 彼は良い時計を持っている。

(S)  (V)      (O)

 

上の例では形容詞niceが名詞watchを修飾し、「ただの時計」ではなく「良い」時計

となっています。

“beautiful mountain” なら「ただの山」ではなく「美しい」山

“tall man” なら「ただの男」ではなく「背の高い」男 といった具合です。

 

※形容詞には補語Cになる用法(叙述用法)もありますが、関係がないためここでは説明しません。Be動詞の項で説明していますので確認したい方はそちらをどうぞ。

 

☆副詞

副詞はこれだけ覚えてください。

副詞は名詞以外を修飾する」これだけです。

 

名詞以外ってなんだよ、はっきりしろよとお思いでしょう。

例を挙げると、名詞以外とは「動詞」「形容詞」「副詞」「文や節全体」などです。

ほんとに名詞以外何でも修飾します。つまりマルチプレイヤーですね。

SVO( )の項で説明しましたが、品詞分解するときは( )で囲みます。

 

She is (so) beautiful. 彼女はとても美しい。

(S)  (V)        (C)

 

“beautiful”という形容詞を副詞”so”が修飾し「とても美しい」という意味になっています。

 

Thank you (very much). 誠にありがとうございます。

(V)   (O)

 

Thankは”Thank 人”で「誰々に感謝する」という動詞です。

副詞句”very much”「とても」が動詞”thank”「感謝する」を修飾し、「あなたにとても感謝します」という意味になります。

 

さて、前置きが長くなってしまいましたが、不定詞の各用法について見ていきましょう。

 

【不定詞の名詞的用法】

 

名詞的用法では、To不定詞がS、O、Cのどこかに入り、「~すること」という意味を取ります。まず主語Sになるパターンを説明します。

 

To play music is my life. 音楽を演奏することが我が人生だ。

(S)     (V)   (C)

 

上の例では、主語SにTo不定詞が入り「音楽を演奏すること」という意味になります。

 

また、主語SがTo不定詞になる場合、長くなりすぎることがあります。たとえば…

 

To win the triple crown in major league baseball is (extremely) hard.

(S)                           (V)               (C)

メジャーリーグで三冠王を獲得するのは、めちゃくちゃ難しい。

 

主語が長いですね~。こういう頭でっかちな文は、英語ではあまり好まれません。そういう時に、長い主語の代わりにItを置くことがあります。

 

It is (extremely) hard/ to win the triple crown in major league baseball.

(S) (V)               (C)

 

主語Sは仮主語Itを置いて、実際の内容はto以下で説明する方式ですね。

これも名詞用法のよくある例です。

上の例でいいますと、「メジャーリーグで三冠王を取ること」って、英語でしゃべろうとすると全然出てこないですよね。なので、「”それ”はめちゃ難しい」だけ先に言って、「それ」の内容は後から説明するイメージですね。

 

I want to eat pizza. ピザ食べたい。

(S)  (V)     (O)

 

上の例では目的語OがTo不定詞になり、「ピザを食べること」をしたいという意味になっています。※”want to V”全体をVとする考え方もあります。

 

次は補語Cになるパターンです。

 

My hobby is to cook south Indian curry. 私の趣味は南インドカレーを作ることです。

(S)   (V)            (C)

 

「南インドカレーを作ること」が名詞の役割になっています。

 

ここまで、S、O、Cになる名詞的用法を見てきました。次は形容詞的用法です。

 

【不定詞の形容詞的用法】

形容詞は名詞を修飾する」これを思い出して下さい。

形容詞的用法ではTo不定詞が直前の名詞を修飾し、「~するための」という意味になります。品詞分解する際、形容詞は[ ]でくくります。

 

I don’t have words [to say]. 私には言う言葉がない

(S)        (V)   (O)

 

上の例では、To不定詞[to say]が名詞”words”を修飾し「言うための言葉⇒言う言葉」という意味合いになっています。あまりにもショックな出来事があって言葉が出ない時、こういう状況になりますよね。

 

Would you like something [to drink]?  何かお飲み物はいかがですか?

(助)   (S)  (V)    (O)

 

“Would you like ~?” は「~はいかがですか?」という定番の表現です。

To不定詞[to drink]が名詞”something”を修飾し「何か飲むためのもの⇒何か飲み物」という意味合いになっています。

 

さて、次は副詞的用法です。

 

【不定詞の副詞的用法】

副詞について「副詞は名詞以外を修飾する」と説明しました。なので副詞的用法の不定詞も、名詞以外を修飾します。また、その意味も多くあるので、臨機応変に訳していきましょう。

 

☆目的 ~するために

Im studying English (hard) (to pass the exam).

(S)   (V)         (O)

私は試験に合格するために一生懸命英語を勉強しています。

 

To不定詞以降は、「試験に合格するため」となり、これが動詞の「勉強している」を修飾して、「試験に合格するために勉強しています。」となっています。

 

☆感情の原因 ~なので ~で

 

Im happy (to hear that).  それを聞いて嬉しいです。

(S) (V)  (C)

 

これはTo不定詞の「それを聞いて」が形容詞happyを修飾していますね。

実は皆さんがよく使うあのフレーズもこの類です。

 

Its nice (to meet you). お会いできて光栄です。

(S)(V) (C)                       ※普段はIt’sは省略していることが多いです。

 

不定詞の副詞的用法では他にもいくつか用法がありますが、よく会話で使われるのは上の2つの用法だと思います。さて、次は名詞的用法の不定詞と同じように使うことができる、「動名詞」について説明します。