センター試験の何がダメだったか?その2
そもそも、ダメの基準ですが、それは
「10年間塾講師していながら、アメリカ留学したら全く話せなかった」
という体験に基づいています。
つまり、
「英語を実際にしゃべれる、コミュニケーションがアメリカでも取れる」
そういったことをゴールとした場合の
「ダメ」
な点です。
センターは僕が塾講師をしていた2011年までは、主に
1、最初に発音問題
2、文法クイズ
3、長文読解
という形で成り立っていました。
その文法クイズの問題点を考えてみたいと思います。
いわゆる並べ替え問題や、かっこの中に入るものを選択肢から選ぶようなものです。
一言で言って、
「会話ができるようになる、という点において、バランスが悪過ぎ」
なのです。
英会話力は
「正確さ × 流暢さ」
で成り立つと言われますが、
アメリカの語学校のコミュニケーションに重点をおいた指導でも
「流暢さ > 正確さ」
ということがよく言われていました。
正確さ、よりも、
「とりあえず、淀みなくスラスラと英語が出てくる状態(ペラペラじゃなくても)」
が大切とされているのです。
それは実際の英会話の場面でもそうでしょう。
やたら正確さにこだわって、なかなか言葉が出てこないよりも
多少間違っていても、スラスラとしゃべれたほうが、断然実践的です。
そして、流暢さを磨くためには、スピードを重視した音読練習や、
大量の英語を速くInputする速読の練習。
こう言った練習が大切なのです。
ところが、文法問題は「正確さ」を問う問題であり、
さらに選択肢となっているので「じっくり」時間をかけてときます。
スピードはつきません。
つまり、文法クイズ問題がたくさんあり、
そのために、受験生(頭が柔軟で時間をたくさん割ける貴重な時期)が
「多くの時間を、その文法問題の演習に使う」
という状況は
「正確さばっか気にして、音読も大量の速読もできない」
本末転倒な状態を作り上げてしまっているのです。
もう一つ、指摘するならば
「マニアック過ぎ!」
文法が必要ないとは言いません。
英語は「語順の言語」ですから
その言語の語順の法則をつかむことは大切です。
とはいえ、
「非常に単純な中学レベルの知識で十分」
そこを、アメリカ人ですら迷うようなマニアックな問題を出して
正確な知識を問う。
そのくせ、基本的な動詞や前置詞の運用ができない。
例えば、Toeic高得点の人ですら(ちょっと受験に似ている)
「あ、これちょっと持って!」
と、重い荷物を相手に渡すようなとき、戸惑うことが多いようです。
Can you [take] it?
で良いのですが、それを知らずに、Marvelだけは自動詞なので、感情を表すけど受け身にはならない・・・
とか、覚えて何になるでしょうか?
日本人はやったら前置詞にこだわって質問してくるのでウザイ!
と言っていた外人講師もいました。
それもこれも、
「過度に正確さにこだわってマニアックになり過ぎたこうした文法クイズ問題のせい」
でしょう。
Toeicも新式問題集からは、この手の文法クイズ問題は減りました。
Toeflテストなんかは、そもそもこの類の問題はありません。
社会人となって、もうテストのために勉強しなくても良い。
そういう方は、この手の問題はすっ飛ばしてしまって問題ありません。
そこそこしゃべれる人が、もっと正確さを磨きたい、という理由でこういう問題を
「楽しみで」やるのには、とても良いと思います。
Leon